第四人称の語り部

コトバを生きる日々/ 俳人 /【俳句てふてふ】▶︎▶︎川辺一生

【連載小説】はしがき 〜さよなら、絶望〜

家族に会いたい、と想う。

母が亡くなって、ずいぶんと月日が流れた。

 

もう全てが終わったような気がして、何もかもが嫌になったあの時から、

 

彼岸の家族とまた会うその時に、

笑顔で再会できたらと、

 

いま、この時を生きている。

 

不登校支援の仕事で子どもと向き合う時、
子ども食堂で子どもたちの笑顔に囲まれる時、

ふと背中に温かいまなざしを感じることがある。

 

振り返っても誰もいないのに、それが誰なのか、私にはハッキリとわかる。

 

だから、この瞬間、言葉をひとつひとつ紡ぐことにした。

 

家族に、

子どもたちに、

そして、他でもない、あなたに宛てて。

 

これから少しばかり物語を書いていこうと思う。

 

人生において、ひとりではないと思えることは、幸せだ。

これを読むあなたが、そう思えるような、人生を描いていこうと思う。

 

さよなら、絶望。

 

今日がきっとその一歩になるはずだ。