第四人称の語り部

コトバを生きる日々/ 俳人 /【俳句てふてふ】▶︎▶︎川辺一生

【川辺一生 自選句】神無月(令和六年)

 

秋の灯や妻と作りし旅の地図

 

釣瓶(つるべ)落とし墓石の文字の暗さにも

 

日本三景、松島にて)

秋夕焼島影残る松の先 

 

こおろぎの消えゆく声や道の闇

 

彼岸花雨音耳に残りけり

 

秋風や亡き母の手のやわらかさ

 

てのひらに老鳥逝きし夜寒(よさむ)かな

 

秋雨を告げる小川の波紋かな

 

生きて死ぬただそれだけを草の花

 

生も死もさびしさのこる紅葉かな

 

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