2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧
私が不信感を感じたのは、それだけではなかった。 忙しく動き回る叔母から少し離れた壁際の座卓の側に、ひとりの女子高生が座っている。 彼女と会ったのは昨日の通夜の席が初めてであったが、その時からずっと、私は彼女のことが気になって仕方がなかった。 …
夏の日差しがまぶしかったのを覚えている。 窓越しに差し込んだ光線は、ジリジリと響く蝉の鳴き声と共に、宴会場の畳を照らしていた。 その陽を背に受けながら、幼い私は瓶ジュースの王冠の群を畳の上に並べていた。キラキラと光沢を放つそれらを眺めている…