祈り、という営み
それは、ひとの本能的欲求かもしれない
近頃そう感じている
拝観した
金色の阿弥陀さま
涼やかな眼差し
ふっくらとした頬
その包み込むような佇まいは
慈愛そのもの
御仏の前に
涙を流したひと
御仏の慈愛に
生きるちからを得たひと
無数の祈りが
きこえてくる
「南無阿弥陀仏」
御仏にすべてを委ねる
それは、すがることとは少し違うようだ
自分を二番にする
一番の場に、神仏を招き入れる
それは大いなる地平の一歩に他ならない
ともかくもあなた任せのとしの暮
こころをよぎる
そっと阿弥陀さまに手を合わせて祈ると、
余韻に包まれながら外へ出た
暮れどきの陽は、
あたたかく、まぶしかった
春の暮ふっくら頬の仏かな
川辺一生
※ 掲句は、「俳句てふてふ」にて投稿