人間はパンで生きる以上に、肯定で生きるのである。
『レ・ミゼラブル』
食べる。
いのちをつなぐ。
古来よりパンは生命の、
そして生活の象徴だ。
だが一方で、パンだけでは、生活だけでは、
人は幸せにはなれない。
日々の生活を生きるためだけの人生に、
人は耐えられない。
だからこそ、
人から肯定されることで初めて、
人は自分らしく生きてゆける
そう筆者は言いたかったのかもしれない。
先の言葉の後、修道院での逃亡生活を送るジャン・バルジャンと幼いコゼット親子の、束の間の幸福な時間が描かれる。
コゼットは毎日一時間、彼のそばで過ごすことが許されていた。
(中略)
ジャン・バルジャンは晴々とした気分になり、コゼットに幸福をあたえることによって、じぶんの幸福もみちみちてくるのを感じた。
大切な人との、笑顔あふれる時間。
素朴なその営みこそ、この世界を美しく照らす。
幸せはいつも、目には見えない。
幸せはいつも、ささやかなもの。