第四人称の語り部

コトバを生きる日々/ 俳人 /【俳句てふてふ】▶︎▶︎川辺一生

【読むと書く日々④】人を生かすもの

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人間はパンで生きる以上に、肯定で生きるのである。

レ・ミゼラブル

 

食べる。

いのちをつなぐ。

 

古来よりパンは生命の、

そして生活の象徴だ。

 

だが一方で、パンだけでは、生活だけでは、

人は幸せにはなれない。

 

日々の生活を生きるためだけの人生に、

人は耐えられない。

 

だからこそ、

 

人から肯定されることで初めて、

人は自分らしく生きてゆける

 

そう筆者は言いたかったのかもしれない。

 

先の言葉の後、修道院での逃亡生活を送るジャン・バルジャンと幼いコゼット親子の、束の間の幸福な時間が描かれる。

 

コゼットは毎日一時間、彼のそばで過ごすことが許されていた。

(中略)

ジャン・バルジャンは晴々とした気分になり、コゼットに幸福をあたえることによって、じぶんの幸福もみちみちてくるのを感じた。

 

大切な人との、笑顔あふれる時間。

素朴なその営みこそ、この世界を美しく照らす。

 

幸せはいつも、目には見えない。

幸せはいつも、ささやかなもの。